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バーチャルウォーター。

取材・文:Dishes編集部

何にどれだけ水が必要か。

水の星である地球に住む生物は、水という存在にほとんど全てを依存しています。植物でも、動物でも、大気ですらも、水がなければ成立しません。むろん、SDGsが叫ばれるはるか以前より、水の重要性は伝えられていますし、水こそを最上と考える偉人たちも多数います。代表的なのが老子です。『老子』の第八章にある一文には次のように記されています。「上善は水のごとし、水はよく万物を利して争わず、衆人の恵む所に処る。故に道に幾(ちか)し。」

水の重要性はあらゆる産業にも及びます。そこで、水の重要性を可視化する取り組みが世界中で広がっています。代表的なのが「バーチャルウォーター」です。これは、食料を輸入し消費する国に対し、その食料を生産するのに必要な水の量を可視化したものです。食料輸入が多い国は、それだけ他国他地域の水資源をバーチャルウォーターとして輸入しており、自国の水資源を節約しているとされます。特に先進国はこの数値が莫大なものであり、水の重要性を再確認する上でも興味深い指標となりつつあります。

環境省のサイトでも、これらの情報はチェックできます。
https://www.env.go.jp/water/virtual_water/
実際に数字を見てみると衝撃的です。“たとえば、1kg のトウモロコシの生産には、灌漑用水として1,800 リットルの水が必要です。また、牛はこうした穀物を大量に消費しながら育つため、牛肉1kg を生産するには、その約20,000 倍もの水が必要です。”(環境省 virtual water サイトより引用)。この観点で、ネットをうろうろと調べてみれば、カレーライス一杯に600ℓ近くものバーチャールウォーターが必要になるという数字もでてきます。

こうした考え方は、今後ますます広がっていくと考えられます。日本は日本で生産し、流通させることの重要性と価値が、水という視点からも可視化されていることは深く考えさせられます。いやむしろ、生産した食料を輸出することで、水資源の少ない国家に大きく貢献できる可能性すらあります。ヤマダイ食品が展開しているもぎたてファクトリーの試みなどは、ますます重要になっていくのかもしれません。

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