もはや、アスリートの世界における体調管理の根幹は食べ物と睡眠。この2つの大きな事柄に集約されると言っていいのではないでしょうか。同時に、世界的にさまざまな技術革新が進んできたことで、食べ物に関する構成要素はかなり分析できるようになり、睡眠に関してもどのようなライフサイクルが良質な睡眠に貢献してくれるのかも研究がどんどん進んでいます。
クラブチームなども、アスリートの管理は徹底して行うようになっています。これらは、体調管理は自ずと精神管理ともなり、所属するアスリートが本当に快適に、最高のパフォーマンスを出すために必要なことを蓄積していった結果であったと言えるのではないでしょうか。同時に、アスリート自身もまた、自分のパフォーマンスの最大化と、それに基づく活躍こそが自分の存在意義を肯定することとして捉えていますから、よりストイックにトレーニングするようになっているように感じます。
アスリートの方々の勉強量も相当なものになっていることは想像に難くありません。食事ひとつとっても、ベストな組み合わせを日々考え抜きながら体重や体調を管理し、自分だけの方法へと紡いでいく様子はそれだけで職人技と言ってもいい。当然、ベストパフォーマンスの時の食事、睡眠、ルーティンなどは次にも同じことをしていくようになるはずですから、一般人からすればもはやその感覚の研ぎ澄まされ方は想像することすら困難です。
こうして、スポーツはどんどん研磨されており、食に携わる私たちとしては、学ぶことが実に多いものとなっています。それは、体づくりそのものであり、生活づくりそのものです。細部に至るまで因数分解し、そこから要素を読み解きながら、レシピや工程としてイメージしながら具現化していく。それは、ゴールを設定して、そこにいたるルートを緻密に構築していくアスリートたちの生活そのものに近いものなのでしょう。私たちの仕事もまた、築いていくべき意識は同じなのかもしれません。