2nd DISH

ヤマダイ食品 常務執行役員 岡澤直毅

取材・文:Dishes編集部

22年の歩み。

私がヤマダイ食品に入社したのは2000年、今から22年前ですね。当時はまだ営業部ができたばかりで、現代表である樋口を入れて5名のチームでした。樋口は私と4歳違いですね。当時は先代が存命でしたが、2001年にお亡くなりになったため、そこから樋口が背負ったものの重圧は想像に難くありません。とはいえ、当時は自分もただの若者ですから、すでに開所していた東京営業所、四日市の本社工場、名古屋支社とあわせた3拠点体制の中で無我夢中でした。

当時のヤマダイ食品は受託事業がメインでした。まさに下請けです。そこに樋口が、自社製品を開発して販売しながら、会社の成長を促していくビジョンを掲げたばかり。新しく入った私たち若者は、どこか高揚感がありました。覚えているのは、私が事務所にいると樋口がやってきて「ほら、営業にいくぞ」と言っては、急いで飛び込み営業に行ったことですね。性に合ってたこともあり、とにかく面白かった。実は自分は入社式の時、髪型をアフロにしたことがあります。なんかこう、、やってやるぞ!という気持ちで。根は素直で、いろんな人の話を真剣に聞く質でしたから、決して樋口や先代に怒られるようなことはなく、ちゃんと仕事してくれれば文句はないという具合で受け止めてもらったことも印象的でした。お客様も同様で、かえって可愛がっていただけたのを覚えています。

 

海外への強い意志。

当時の年商が8億円。コロナ禍前で年商が30億を超えたところなので、ようやく中堅エリアに指がかかったという企業規模になりました。当時と今との違いは交渉力です。本当に誰も知らない企業でしたから、とにかく話を聞いてもらえなかった。それが今は、まず話を聞いてもらえるところにまできています。努力の蓄積から生まれる信用力の価値を身にしみて理解できます。今のヤマダイ食品に入社する人たちは、この歴史をリアルに体験することはできませんが、これを念頭に置いていただいた上で、これからの未来を作るために一緒に前進していけたらと思っています。

会社の成長と同時に着手してきたのが海外展開です。今は、コロナ禍によって大きく停滞していますが、2022年には世界全体での回復が見えてきているので、再び注力していきます。現在、メインのマーケットと位置付けているのがアメリカとタイです。どちらにも、現地法人を構えています。私は、アメリカ法人の責任者でもあります。一番最初にアメリカに行ったのは入社後すぐ、代表の樋口とNYに行ったのが最初でした。私の地元は三重県。しかも、三重県から出たことなく、大学卒業後も三重県で就職先を探してヤマダイ食品にたどり着いたくらいでしたから、初めてのNYにとてつもない衝撃を受けました。アメリカにいつかビジネスでいく、というのはその時からの夢でもありました。

実はアメリカ展開にあたって当初、樋口はNY、自分は西海岸と意見が分かれました。それでも、責任者として実行するのは自分だからということで、西海岸での展開を承認してくれました。さっそく現地法人を立ち上げたのが今から6年前。最初は、少しずつ商品を送り営業し、実績を積んでから大きく輸送も展開もしていくことを考えていたのですが、樋口が最初からコンテナで送ることを主張し実行したので、現地法人が借りている冷凍倉庫に積みあがった在庫の山を見て、背筋が寒くなったのを覚えています。そこからは、アメリカの法人に飛び込み営業をする日々の始まりです。英語はもちろん不慣れだったので鍛えました。そう考えると立場は違えども、入社以後ずっと同じことで自分を磨いてきているのだなと再認識します。

 

食文化のインターフェイスとして。

私たちの商品アイデアは、そのほとんどがお客様との会話の中で生まれます。フロントマンである営業スタッフは、製品開発のインターフェイスでもあるのです。こうして生まれたアイデアを商品企画・開発チームと擦り合わせながら具現化し、厳しい品質管理を経て最終的な製造現場へ落とし込んでいきます。そのためには、我々スタッフが常に知識も経験も豊かになっていなければなりません。「食べる」のはもちろん、生産者と話す、作っているところを見る、技術を知る、調味料を理解するなど、さまざまな経験を蓄積していくことが重要です。食の世界はどんどん進化し変化していきます、そこにフロントとして触れる営業スタッフが、弊社の生命線でもあります。

海外展開はこうした我々の強みとしても機能しています。つまりは、文化の最前線にいるフロントということです。現在は、日本で加工した和の食品を海外に展開することで評価を得ていますが、今後は、現地に工場を立ち上げて現地の素材で和の味わいと、現地の食文化に根ざした食品の提供を目指しています。その時には、日本に対しても現地の味わいを”輸出”できるようにしていきます。結局のところ、すべては素材と味、そして安心、安全な品質なのです。世界のどこにいっても、必ずそこには「食べ物」があります。そしてそれらは、多くの人を笑顔にし、幸せを作り出している。私たちヤマダイ食品が目指すのは、この一点。食べ物で人を幸せにするために、私はいつでも、入社当時のワクワクを忘れることなく、新しいフロンティアの開拓に向けて、社内のチームと連携しながら前進していきます。

類似のタグがあるコンテンツ