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ヤマダイ食品 カスタマーインサイト事業部 商品開発グループ 第一チーム 部長 伊藤岳志

己を知り、技を磨く。

工場の設備や工程を抜きにして、ヤマダイ食品の「おいしさ」を作ることは不可能です。我々にとっての調理場は、キッチンではなく工場。家の台所で調理するのとは訳が違います。食材に調味料を加えて作る和え物も、家庭だとどんなに多くても1kg程度ですが工場では100kgほどの重さになります。たとえば、洗う時でも炒める時でも食材には家庭ではあり得ないほど強い負荷がかかり繊維や形状が変わりますし、調味料の浸透の仕方も全く異なるものになります。商品開発に所属する我々は、理想の味をいかに工場で実現するか、という頭に切り替えてその舵取りをしなければなりません。

ヤマダイ食品では、新入社員に対して1ヶ月間の工場研修を実施しています。工場の設備を把握し、実際の生産ラインに入って製造工程を学ぶことが目的です。商品開発グループに所属する新入社員には「できる限り色んな人と話して、色んな工程を見るように」と伝えて送り出します。この工場研修を通じて、工場で「おいしさ」を実現することの難しさを知ることが商品開発の第一歩だと思います。しかし、工場の設備を完璧に理解したからといって新しいものが生み出せるわけではないのが、この仕事の難しいところです。

そこで大事になってくるのが「コミュニケーション」ではないでしょうか。我々開発部隊は営業を通してお客様のニーズを知り、工場で働く製造工と一緒になってレシピを作ります。当たり前ですが、開発の始まりと完成させるための道のりには多くの人が存在しています。普段からお客様とコミュニケーションを取っている営業と話さず、商品が作られる工場へも出向かずでは「おいしさ」は実現できないのです。ヤマダイ食品を成り立たせている色んな人に顔を覚えてもらって、周りを巻き込んでいくことがとても重要です。これが「できる限り色んな人と話して」と新入社員を工場研修へ送り出す理由であり、「コミュニケーション」が「おいしさ」を作ると考えている理由です。

 

「想い」の実現。

私が入社したのは2009年なので、今年で14年目になります。その時から商品開発に所属していますが、振り返ってみると随分と変化してきたと感じます。当時はほぼ和惣菜で業務用の商品しか扱っていなかったので、社名もほとんど知られていませんでした。商品の内容もだいぶ変わりました。特にここ2年で、洋惣菜の割合がぐっと増えたと思います。そうすると提案できる業態も広がっていくので、その変化も面白いですね。ヤマダイ食品が成長していく過程を経験できたことは大きいと思います。

嬉しいことに新しい商品を出すと、お客様から「これヤマダイさんのでしょ」と言っていただけることがあります。和惣菜=ヤマダイ食品ではなく、味やパッケージからヤマダイらしさを感じていただけるのは喜ばしいことです。流行りに乗るようなことは一切せず、自分達がいいと思うものだけを商品化してきた結果と言えるのではないでしょうか。我々は常に自分達が作りたいと思うものを作ることに全力です。それがやりがいにも繋がっています。

今後は、その実現力を高めるためにできなかったことを可能にするための挑戦がしたいと思っています。2020年に東員工場を作ったのも、それが目的です。ヤマダイとして理想の工場ってどんなものなのか、トライしながら追求する。すでにさまざまな失敗を重ねていて、挑戦する度に描く理想は変化しています。ヤマダイ食品は個性のある商品を作るという特徴を持った会社なので、やり方も型にハマらず自由な発想で挑戦する。それがヤマダイ食品の「おいしさ」を形にすると考えています。

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