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-第1回- 「四日市」

四日市市は、三重県最大の都市である。東海地方においても、名古屋、静岡、浜松、岐阜、豊橋について第6位の都市圏を誇っており、単体での人口も30万人を超える。全国に知られる四日市コンビナートを抱える工業都市であり、伊勢湾においては名古屋港と双璧をなす産業港でもある。

地元には、レトロ感満載のJR 四日市駅と、昭和の中核都市を今に描く近鉄四日市駅がある。街の中心地は近鉄四日市駅界隈であり、三重県内最大の乗降客数を誇る。日本有数の工業地帯でもあることから企業も豊富で、市外からも通う人が多く昼間人口は100%を超える。 この近鉄四日市駅から近鉄名古屋線に乗り4駅目である近鉄富田駅、すぐ近くにはJR線の富田駅のある地域に3階建てヤマダイ食品の本社工場がある。現在、目の前には巨大なイオンモール四日市北が鎮座している。元は東洋紡績の富田工場があったが、1997年に閉鎖され巨大な跡地が生まれた。実はここにも地元ならではの縁がある。

 

地域の縁

イオンは、四日市市の実業家である岡田家が発祥である。もとは岡田屋呉服店を営む商人の家で、その後スーパーオカダヤを展開、昭和の時にジャスコへと社名変更し、その後イオングループを成した。岡田家は四日市三大実業家とも呼ばれている。ヤマダイ食品の目の前に、この地から誕生した巨大企業を成した実業家の足跡の一端があるのも妙である。なお、東洋紡績の本社は大阪であり、創設者はかの渋沢栄一である。時代の流れと大きな産業の歴史を感じられるようだ。

 

本社工場

話を本社工場に戻す。2020年1月に竣工した三重県員弁郡東員町の新工場と比較すれば、こじんまりした印象があることは拭えないが、現役バリバリの工場である。創業時佃煮屋であった我々は、この地において惣菜業へあゆみを進めたのち、冷凍技術と出会い現在の企業の礎をなした。この工場には、その足跡がそのままパッケージされていると言っても過言ではない。確かなのは、四日市の歴史、明治大正の歴史、日本全体の産業の流れとヤマダイのあゆみは切っても切れないということである。同時にそれは、これからの未来を占う上で重要な価値となるだろう。私たちは突然生まれた存在ではなく、地域環境や時代背景の中で必然的に生まれた存在である。この法人が、どのように生きてきたのか、そしてどのように生きていくのか。本連載において、じっくりと明らかにしていければと思う。

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